理事長挨拶

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理事長挨拶

 

 

一般社団法人日本乳癌学会 理事長
昭和大学医学部 外科学講座乳腺外科学部門
中 村 清 吾

21世紀に入り、ホルモン療法や分子標的薬を始めとする薬物療法の目覚ましい進歩や、マンモグラフィに加えて、MRIや超音波検査等画像診断の技術革新とともに、乳癌患者の予後は、確かな足取りで改善の兆しを呈しています。こうした医療の高度化とともに、2000年代初めごろから、乳がんを軸に据えた医師のみならず、看護師、薬剤師等の各職種の専門分化が急速に進んできております。そこで、日本乳癌学会は、かつて外科医が中心であった時代から、腫瘍内科、放射線科、病理診断科、産婦人科、形成外科等の様々な専門領域の会員が増え、また、準会員制度も導入し、看護師、薬剤師、遺伝カウンセラー等も含めて、約10000人の会員を擁する巨大な組織となりました。

こうした中、患者中心に各領域の専門家が一堂に会し、患者個々の人生観、価値観に照らし合わせて、各人に相応しい最適の医療を提供していくチーム医療の体制が求められております。その際、チーム内でのコンセンサスを得るためにも、当学会では、2004年からEBMに基づく診療ガイドラインを作成し、その共通基盤のもとで、コミュニケーションを図ってまいりました。今後は、常に最新のエビデンスを、遅滞なく広く国内に浸透させる対策を検討いたします。そのひとつに、e-learningシステムを導入し、各人が、隙間の時間を効率よく用いて学習できる環境を整える予定です。

また、チーム医療によって、医療の質が向上しているか否かを、定期的に振り返る必要があります。まさしく、反省無くして進歩を望むことはできません。そこで、まず、診療ガイドラインをもとに、癌登録のデータベースから導き出されるQuality Indicatorを定期的に公表し、さらなる診療の質向上を目指したいと思います。

さらに、現在、国として専門医制度の見直しが進んでおりますが、患者が求める専門医や専門職のあり方を、学会としても再考する必要があると感じております。患者の様々なニーズに対して、チームの各構成員(専門職)がどう応えていくか、或いは、全人的医療をどう実践していくか、という観点から、まず乳腺専門医の外形基準の見直しを進めたいと思います。

また、チーム医療が機能するためには、情報の共有が必要で、学会運営におけるIT化を推進し、各種情報をタイムリーに届けられるようなシステムを導入したいと思います。加えて、NCD(National Clinical Database)の基盤の上に成り立つ乳癌登録も、より正確でタイムリーに入力できる体制を整え、そのビッグデータを活用した各種臨床研究も推進してまいります。

最後に、乳癌の克服は、世界各国においても最重要課題の一つであり、国際協調のもとで、常に最先端の医療を遅滞なく提供し、一日も早く乳癌の制圧ができるよう努めてまいる所存です。

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