日本乳癌学会のWeb版「乳癌診療ガイドライン」

総論2:マンモグラフィガイドラインとBI—RADSのカテゴリー分類について (検診.画像診断・総論・ID51610)

乳癌診療ガイドライン2 疫学・診断編(155-156ページ)

 解 説

 読影所見と報告書の記載方法を標準化したものとして,米国放射線専門医会(ACR)が作成したBreast Imaging Reporting and Data System(BI—RADS)が広く知られている。日本では,BI—RADSの第2版をもとに,1999年に「マンモグラフィガイドライン」が出版された。その中では,最終的に所見の悪性度を評価する基準として5段階のカテゴリー分類が用いられている(表1)。カテゴリー1か2は精密検査不要,カテゴリー3から5は要精密検査という位置付けである。日本では,繰り返し受診者であれば比較読影を行った後に判定する。欧州のガイドライン1)では,日本と同様にマンモグラフィ所見をR1からR5の5段階に分類し,R3以上を要精密検査としている。

P155_表1

 一方,BI—RADSでは2),カテゴリーを最初のマンモグラフィのみではなく,追加撮影や超音波検査などを含めた画像の総合判定と位置付けている(表2)。乳癌検診の一般的な流れは,検診マンモグラフィで悪性を否定できない所見があればカテゴリー0を付けて要精密検査とし,後日,自施設で追加のマンモグラフィ撮影や超音波検査を行い,そこで悪性所見がなければカテゴリー1か2,悪性の可能性は低いが(2%以下)6カ月後の経過観察が必要と判断すればカテゴリー3,それ以上の悪性度を考えればカテゴリー4か5として病理学的検査を行っている。病理学的検査で悪性が証明されている検査であれば,カテゴリー6とされる。

P155_表2

 日本では検診施設と精密検査施設が異なることが多く,検診で撮影されたマンモグラムを精密検査施設が参照しにくいという現状がある。そのため,BI—RADSのカテゴリー0に相当する所見を,カテゴリー3から5に分類することは検診の精度管理に必要であると考えられる。例えば,精密検査施設において,検診マンモグラフィで局所的非対称性陰影カテゴリー3と判定され精密検査で異常がなかった場合は,検診では乳腺の重なりを見ていたものと解釈できるが,検診マンモグラフィでカテゴリー4,5の腫瘤と判定され精密検査で異常がなかった場合は精密検査が不十分である可能性があり,検診機関からマンモグラムを取り寄せるなどのより慎重な対応が求められることになる。また,検診施設においてはカテゴリーごとの陽性反応適中度を常に把握し読影の精度を保つ必要がある。マンモグラフィ検診精度管理中央委員会のマンモグラフィ講習会では,カテゴリー3の陽性反応適中度は5~10%,カテゴリー4は30~40%程度,カテゴリー5は90%以上が望ましいとしている。

 しかし,世界的に普及しているBI—RADSのカテゴリー分類と,日本独自のカテゴリー分類が混在していることで,多くの混乱を招いているのも事実である。特にカテゴリー3の陽性反応適中度が大きく異なるため,日本のデータを海外に発信する際に改めてBI—RADSカテゴリーに変換する必要がある。また,診療においてもカテゴリー3の症例では,経過観察するべきか精密検査をするべきかで全く異なる方針となる。今後は日本のカテゴリーの用語の変更や合意形成などの対策が必要であると考えられる。

参考文献

1) Perry N, Broeders M, de Wolf C, Törnberg S, Holland R, von Karsa L. European guidelines for quality assurance in breast cancer screening and diagnosis. 4th ed, Luxembourg:Office for Official Publications of the European Communities, 2006.

2) Breast imaging reporting and data system(BI‒RADS)atlas. 5th ed. Reston, VA, American College Of Radiology, 2013.

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