Q10.治療を決める際に,医師と何をどう話をすればよいでしょうか。

【A】どのような治療を受けるかを決めるのに必要な情報(目的,内容,効果,リスク,時間や費用)などについて詳しい説明を受け,患者さんご自身の希望を伝え,医師の考えや勧めも聞いて話し合い,納得したうえで方針を決めてください。

信頼できる医師とは ▶インフォームド・コンセントとは
インフォームド・コンセントでの患者さんの役割 ▶聞くべきこと,質問のしかた

解説

信頼できる医師とは

治療をうまく進めていくには,患者さんと医療スタッフ,特に担当の医師との信頼関係はとても大切です。がんの治療には高い専門性が必要ですので,がん治療に精通していて,患者さんの病状をみながら,そして患者さんの希望を十分理解したうえで,患者さんにとって最もよい治療は何かを患者さんと一緒に考えてくれる医師が信頼できる医師といえます。具体的には,

① 患者の話を引き出したり,よく聞こうとしてくれるか
② 患者の気がかりや苦しいところに共感してくれるか
③ 必要なことをわかりやすく説明してくれるか
④ 患者の希望を聞いてくれるか
⑤ 根拠のある治療の中から最善の方法を提案してくれるか

などが重要です。患者さんの顔をみもしない,患者さんが理解できるようなわかりやすい説明をしない,質問するといやな顔をする,治療法の説明をして「あとはあなたの選択ですから」と放り出す,というような医師と信頼関係を築くことはなかなか難しいと思われます。

インフォームド・コンセントとは

患者さんが検査や治療について医師から必要な説明を十分に受け,理解したうえで同意することを「インフォームド・コンセント」といいます。ひと昔前までは洋の東西を問わず,医師と患者は,「患者は医者のいうことに従っていればよい」という関係でした。しかし,検査や治療を受けて恩恵を受けるのも,痛かったり不便があったりするのも患者さん本人です。検査や治療を受けるかどうかは最終的には患者さん本人にしか決められないことであり,他人が勝手に決めたのではだめだ,といわれるようになって「インフォームド・コンセント」の考え方が生まれました。

医師には,患者さんの希望をうまく聞き出したうえで,患者さんにとって最善の方法を選んで提案することが求められます。そのために,患者さん自身は,「自分にとって一番大切なことは何か,どういう生活をしたいのか」を考えて伝えることが大切です。「インフォームド・コンセント」の主体はあくまでも患者さん自身です。患者さんが検査や治療について十分に理解し,納得して同意できるように,わかりやすい説明をすることが担当医の役目です。

インフォームド・コンセントでの患者さんの役割

乳房温存手術と乳房切除術のいずれもが適応となる患者さんを例にとると,まず患者さんにとって大切なことは「乳房温存手術か,乳房切除術か」を患者さんご自身ですぐに決めることではなく,「私は何を一番にしたいか,ふくらみを残したいのか,術後の放射線治療がいやなのか」などを考えて医師に伝えることです。温存手術後にきれいにふくらみが残るかどうかは,しこりの大きさや場所によって大きく変わってきます。無理に温存するよりも,乳房切除して再建したほうがかえってきれいになる場合もあるので,ふくらみが大事であればそのことを伝えてください。あなたの希望が十分に伝わることによって,医師もあなたにとって最善の手術法は何かを提案しやすくなるのです。

何が自分にとって大事なのか,最初はわからないときもありますが,医師や看護師,経験者の人と話をしているうちにわかってくることもあります。別の医師の意見(セカンドオピニオン)を聞きに行くのもよいと思います(☞Q11参照)。

聞くべきこと,質問のしかた

患者さんの中には,医師の説明を聞いていて「質問したいことはたくさんあるのだけど,何をどう聞いていいかわからない」という人が多くいます。治療の前に聞いておくべきポイントを挙げましたので,参考にしてください。

・私の病状(病気の広がりや手術ができるかどうかなど)はどのようなものですか
・治療の内容と目的(再発の予防,症状の緩和など)は何ですか
・その治療のリスク(副作用など)にはどのようなものがありますか
・その治療を受けると,どんな良いこと(再発の可能性が低くなる,症状が軽くなるなど)がありますか
・日常生活はどれくらい制限されますか(入院か,外来か,仕事を休む必要はあるかなど)
・他の治療にはどのようなものがありますか。それぞれの利点・欠点や,お金はどれくらいかかるかを比べてみるとどうですか
・その治療を受けないとどうなりますか
・私の希望(再発の可能性はできるだけ少なくしたい,胸の開いた洋服を着たいなど)に合った治療は何ですか

同じ病状の患者さんでも,考え方や希望は一人ひとりで異なりますので,治療の目的,利益,リスク,コスト(時間や費用)のバランスをよく検討して,納得したうえで治療方針を決めてください。

医療スタッフとのコミュニケーションについては,Q58も参照してください。

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