Q23.手術後の乳房がどのようになるかイメージできないので不安です。どのような準備をするのがよいでしょうか。

【A】担当医に具体的な手術跡の状態を,絵や写真でみせてもらいイメージをもつことが重要です。また,手術跡の位置や許容できる乳房の変形の程度について,ご自身の希望を担当医に伝えるとよいでしょう。

乳がんの手術 ▶その他の手術への希望 ▶センチネルリンパ節生検後の整容性

解説

乳がんの手術
(1)乳房切除術

乳房切除術は,乳頭,乳輪,乳房のふくらみをすべて切除する手術です。しこりのある部分の皮膚も一緒に切除することになります。切除したあとは,皮膚を縫い合わせて手術は終了です。手術後は乳房のふくらみが消失し,真ん中近くから横あるいはわきの下に向けての少し斜めの手術跡がつくことになります。がんのしこりの位置,患者さんの体型(肥満型,やせ形,中肉中背など),乳房のボリュームの大小によって,手術跡のつき方は違います。また,特に大きなボリュームのある乳房を切除した場合には,術後乳房の重さの左右差によって,肩こり, 脊椎側彎症(せきついそくわんしょう)などが起きることがあります。現在,重さの左右差を補整するパッドや専用の下着が多く販売されており,これらを着用することで調整できます。手術後にわきの下にたまるリンパ液の量が少なくなり,手術跡が治るころ(1カ月から遅くとも3カ月)には補整下着を用意するとよいと思います。病院内であれば,看護師などの医療スタッフに相談するとよいでしょう。手術跡の治りやすさには患者さん自身の持病も関係します。例えば,糖尿病の方は手術跡の治りが悪く,処置が長引くことがあります。ご自身の持病については事前に担当医に伝えるようにしたほうがよいでしょう。

(2)乳房温存手術

乳房温存手術は,乳がんの存在する乳房の一部分のみを切除して,できるだけよい形の乳房を残す手術方法です。以前は,がんのある部分を含めて乳房の4分の1程度を切除する扇状(せんじょう)部分切除術が多く行われていましたが,術後の乳房の形は満足できるものではありませんでした。最近では,手術の前にMRI検査,CT検査,超音波検査などで,乳房内でのがんの広がりを詳しく調べることにより,円形に近い形で切除する円状部分切除術が可能な方が多くなりました。切除する範囲が狭くなったことで,手術跡も小さくすることができるようになってきました。

しかし,患者さんにとって,手術跡が乳房のどこにつくかは大きな問題だと思います。医師はしこりの真上の皮膚を切るのが最も簡単なのですが,そうすると手術跡が非常に目立つことがあります。しこりが真上の皮膚まで広がっていなければ,しこりの真上の皮膚を切除する必要はなく,皮膚のどこを切るか(手術跡がどこにつくか)を患者さんはある程度希望することが可能です。まず患者さんは,自分の希望を担当医に伝えることが大切です。例えば,わきの下の縦のラインでやってほしい,乳輪に隠れるラインでやってほしい,胸の開いたドレスを着ることが多いので胸の谷間に手術跡はつけないでほしい,乳房の下はブラジャーで隠れるので変形してもよいが,谷間でみえる部分のボリュームは保ってほしい,などです。しこりのできている場所,乳房の大きさ,切除する必要のある乳房の量などによって制限はありますが,医師は,患者さんの希望と病気の状態を考え,皮膚を切る位置を考えます。

その他の手術への希望

乳がんの広がりによっては,温存を強く希望しても乳腺をすべて切除したほうが安全な場合があります。このような場合には,皮膚温存乳房切除術や乳頭温存乳房切除術(☞Q18参照)で一期または二期再建(☞Q24参照)を行う場合があります。細かな適応があり,すべての方で実施できる方法ではありませんが,自分の乳頭・乳輪を残したいという希望があれば,担当医にしっかりと伝えるべきです。その方法が無理な場合は,医師はその理由を説明し,次によい方法を提示します。

センチネルリンパ節生検後の整容性

センチネルリンパ節生検(☞Q21参照)はすでに多くの施設で実施されていますが,どこに,どの程度の手術跡がつくのかなどは,手術方法や病院によって異なります。例えば,乳房切除術の場合には,乳房切除を行う際にメスを入れた場所からセンチネルリンパ節生検を行うことが可能です。しかし,乳房温存手術の場合は,しこりの場所によっては,乳房温存手術のときとは別の場所にメスを入れ,センチネルリンパ節生検を行わなければいけない場合があります。

このように同じ手術でも,しこりの場所,広がり,患者さんの体格,医師の技術などで手術後の整容性は千差万別です。可能であれば,以前手術された患者さんの手術後の写真などをみせてもらい,納得して手術を受けることをお勧めします。

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