Q25.手術後の生活ではどのようなことに注意すればよいのでしょうか。

【A】手術が終わって退院するときには,ほとんど身の回りのことができるようになっていますが,無理をせずに徐々にからだの調子を戻していくようにしましょう。
手術で腋窩(えきか)リンパ節郭清(かくせい)をした場合は,腕や肩が動かしにくくなるのを予防するためにリハビリテーションが必要です。通常は術後翌日~7日前後から開始します。また,継続することが必要です。

術後の生活・仕事 ▶術後の創(きず)について
腋窩リンパ節郭清を受けた場合のリハビリテーションの必要性と開始時期
リハビリテーションの期間
腋窩リンパ節郭清を受けなかった場合のリハビリテーションの必要性
リハビリテーションの例

解説

術後の生活・仕事

手術が終わって退院するときには,ほとんど身の回りのことができるようになっていますが,無理をしないことが大切です。食事の用意や洗濯,着替えなど自分でできることは,人に頼らず自分でするように心がけ,徐々にからだを戻していくようにします。

仕事に復帰できる時期は個人差があり,手術の方法や手術後の治療方針によっても違ってきますが,からだの調子に自信がつき,治療に差し支えがなければ,徐々に仕事に復帰してもかまいません。乳房を切除し腋窩リンパ節郭清をしても,通常術後1~2カ月くらいたてば,軽い運動ができるようになってきます。仕事の復帰や運動の開始時期については,医療スタッフと相談しましょう。術後の食事や生活習慣についてはQ54, 55をご参照ください。

術後の創(きず)について

ドレーン(リンパ液をからだの外に出すための管)が抜けて退院する頃には,手術の創はシャワーや入浴で濡らしても大丈夫です。手術創やその周囲は時間経過とともに赤みや腫(は)れが引いてきますが,「創から浸出液が出てきた」「皮膚が赤く腫れてきた」など,創に関して心配なことがあれば,ご自分で判断せず,医療スタッフに相談してください。

腋窩リンパ節郭清を受けた場合のリハビリテーションの必要性と開始時期

手術で腋窩リンパ節を郭清する(☞Q20参照)と,リンパ液の流れが悪くなり,傷がつっぱって,腕や肩を動かさないことで,術後の後遺症として肩関節の動きの制限(拘縮(こうしゅく))が起きることがあります。これを予防するために,腋窩リンパ節を郭清したときはリハビリテーションを行う必要があります。

いつから開始するかについては,ドレーンが抜けてから(手術後1週間前後)開始する考えと,ドレーンを入れたまま手術の翌日くらいから開始する考えの2通りがあります。本格的なリハビリテーションを早くから開始すると,手術でリンパ節を切除した場所に体液がたまりやすい(漿液腫(しょうえきしゅ)やseroma(セローマ)と呼びます)といわれています。基本的にはリハビリテーションは自分で行っていただきますが,術後の痛みにより自分でできないような場合には,理学療法(通院によるリハビリテーション)を受けていただくこともあります。

リハビリテーションの期間

手術後のリハビリテーションは3カ月以上継続して行ったほうが,術後6カ月くらいたったときの肩関節の動きがよく,リンパ浮腫は増加しないという研究結果があります。リハビリテーションで肩の周りの筋肉を十分に動かすことで肩の動きもよくなり,背中のリンパ管の働きを促進することでリンパ浮腫の予防にもなると考えられます。このようなことから,手術後のリハビリテーションは手術直後だけでなく,継続して行うとよいようです。

腋窩リンパ節郭清を受けなかった場合のリハビリテーションの必要性

センチネルリンパ節生検(☞Q21参照)を受け,腋窩リンパ節郭清を行わなかった場合は,腕や肩の動きに対する影響や手術後のリンパ浮腫の可能性は少ないと考えられるため,リハビリテーションは基本的には必要ありません。しかし,まれに拘縮(こうしゅく)やリンパ浮腫を発症することもあるので,日常生活の中にリハビリテーションの動作を意識的に取り入れるとよいでしょう。

リハビリテーションの例

各項目10回で1セットとし,1日3セット程度行います。

① 腕の挙上運動 (図1)
② 壁のぼり運動 (図2)
③ 肩関節運動 (図3)

Q25-図1 図1 腕の拳上運動

Q25-図2 図2 壁のぼり運動

Q25-図1図3 肩関節運動

 

 

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