Q36.手術後の経過観察は,どのように受けたらよいでしょうか。

【A】手術後の定期的なマンモグラフィは,乳房温存手術後の温存乳房内再発や反対側の乳がんの早期発見に役立ちます。しかし,血液検査(腫瘍マーカーを含む)やいろいろな画像検査を,症状がないときに定期的に行うことは,乳がんの治癒率向上や生存期間の延長にあまり役に立ちません。担当医の診察のもと,必要に応じて受けることをお勧めします。

手術後の検査とその頻度

解説

手術後の検査とその頻度

乳がんの手術後,患者さんにとって一番心配なことは再発です。再発を防ぐために適切な治療を受けている一方,再発を早期に発見するためにさまざまな検査(CTなどの画像検査や,腫瘍マーカーを含む血液検査)を定期的に受けている患者さんも少なくないと思われます。

ただ,このように厳重に検査を受けて再発を早期に発見し早期に治療しても,症状が出現してから治療を開始しても,その後の生存期間には変わりがないことがさまざまな研究で明らかになっています。初発の乳がんは小さいうちにみつけて治療することが重要ですが,再発は,がん細胞が血液やリンパの流れに乗ってからだのあちこちに運ばれて出てきたものなので,これをすべて根絶するのは大変難しいことです。再発乳がんの治療は,進行を抑えたり症状を和らげたりすることを目的に行いますので,再発を早くみつけて早く治療を始めても治療効果が高くなるわけではありません。したがって,再発の早期発見よりも,再発の芽が潜んでいる可能性のある手術後に,しっかりと再発予防目的の治療を受けることが重要です。

また,どんな検査にも一定の割合で,偽(ぎ)陽性(再発していないのに検査で異常となる),偽陰性(再発しているのに検査では異常がない)が生じます。そのことは,ときに患者さんにとって大きな不安となってしまいます。

以上のことから,症状がないときに,血液検査(腫瘍マーカーを含む)や各種の画像検査を定期的に行うことは,あまり役に立ちません。ただし,反対側に新たにできた別の乳がんや,温存された乳房の中など手術した部位の近くにがんが再発した場合は,早期に発見することが適切な治療に結びつきます。したがって,年1回のマンモグラフィと,定期的な医師の診察は重要です。

これまでは,「念のために」という考えのもとで過剰な検査が行われてきた感が否めません。患者さんにとっては「再発が心配」というのも,もっともなことと思いますが,検査は手術後一律に受けるのではなく,日常で体調に何らかの変化があった場合,その状況を担当医に伝え適切な検査を受けるようにしましょう。問診や検査の目安を前ページの 表1 に示します。

表1 手術後の検査とその頻度

検査項目 推奨頻度
問診,視触診 手術後1~3 年目…3~6カ月ごと
手術後4~5 年目…6~12カ月ごと
手術後6年目以降…年1回
マンモグラフィ  年1回
血液検査や各種画像検査  何か気になる症状がある場合,必要に応じて

ガイドライン

PAGETOP