Q38.再発・転移とは,どういう状態をいうのでしょうか。自覚症状はありますか。

【A】「再発」は,目にみえないがん細胞のかたまりが,乳がんになった最初の時点から微小転移としてからだのどこかに潜んでいて,初期治療などもくぐり抜けて手術を受けた後に出てくることです。
手術をした側の乳房やその周囲の皮膚やリンパ節に起こるものを「局所再発」といい,骨や肺などの乳房から離れた場所に発生する場合を「転移」あるいは「遠隔転移」といいます。何らかの症状(ある特定の場所が常に痛い,咳(せき)が治まらないなど)を伴っていることもありますが,まったく無症状の場合もあります。

再発・転移とは ▶再発・転移とその症状について ▶局所再発とその症状について ▶再発の検査について

解説

再発・転移とは

乳がんができ始めた初期の頃からからだのどこかに潜んでいるがん細胞(微小転移)が後になって出てくることを「再発」といいます。手術を受けた側の乳房やその周囲の皮膚やリンパ節に出てくる再発を「局所再発」といいます。一方,骨や肺など,はじめにがんができた乳房から離れた別の場所にがんが出てくることを「転移」あるいは「遠隔転移」といいます。

再発・転移とその症状について

乳がんの再発は,手術後2,3年以内に起こることが多いのですが,10年後や20年後に現れることもあります。再発の時期は,病気の進行度や乳がんの性質によって大きく異なります。再発は,乳がんができ始めた頃から微小転移という形で潜んでいたものが,再発を予防する初期治療もすり抜けて(生き延びて),何年か後にそれが目にみえるくらいに大きくなってみつかると考えられます。例えば,肺にがんがみつかり,これが乳がんの転移の場合は,「肺がん」ではなく,「乳がんが肺に転移した(肺転移)」といいます。

乳がんの遠隔転移は,骨(特に背骨や肋骨)や肺,肝臓,脳などに起こることが多いのですが,その症状は人によってかなり違い,何らかの症状を伴う場合もあれば,まったく自覚症状のない場合もあります。骨に転移した場合は,その部位の痛み(肋骨(ろっこつ)であれば胸のその部分が痛いなど)を感じることがあります。肺の場合は,息切れや咳が続くことで気がつくことがあります。肝臓は自覚症状が出にくい臓器ですが,右側のお腹(なか)が張ったり,みぞおちのあたりに圧痛(あっつう)(押さえると痛む)を感じることがあります。脳の場合は,頭痛やめまい,手足の麻痺(まひ)などが続くことがあります。

局所再発とその症状について

局所再発は,乳房温存手術後の乳房や,乳房切除術後の胸の皮膚や手術を受けた側のわきの下や乳房に近いリンパ節に起こります。皮膚の赤みや皮下のしこりとして自覚されることもあります。

再発の検査について

再発も,「できるだけ早くみつければ,完全に治せるのではないか?」と,多くの方が,さまざまな検査を含む定期検診を希望します。しかし,定期的にさまざまな検査を受けて遠隔転移を早期に発見し,早期に治療しても,症状が現れてから治療を開始してもその後の生存期間に変わりはありません(☞Q36参照)。特に血液を少量採るだけで簡単に調べられる腫瘍マーカーが,遠隔転移を発見するのに役立つと期待している方も多いようです。しかし,腫瘍マーカーは,がんがからだにあれば必ず高値になるというものではなく,腫瘍マーカーが高値にならないタイプのがんもあれば,別の病気などで高値になることもあります。したがって,腫瘍マーカーをチェックしていれば,遠隔転移を必ずしもみつけられるというわけではありません(☞Q37参照)。ただし,腫瘍マーカーが高くなってきたときは,他の画像診断なども行って再発かどうかを調べます。

特に遠隔転移の場合には,手術の時点で目にみえない小さな病巣がからだの他の場所にも潜んでいる可能性が非常に大きく,これらの小さな病巣まですべて切除するのは大変難しいことです。したがって,遠隔転移がみつかった場合は,病巣はある程度大きくなっています。遠隔転移の場合は,現在の治療では根治は極めて困難で,がんの進行を抑え症状の緩和を目指した治療を行うことになります(☞Q39参照)。

からだのどこかが少し痛いだけでも,「再発ではないかしら」と心配する患者さんもいらっしゃるでしょう。もちろん,何か気になる症状があった場合には躊躇(ちゅうちょ)することなく担当医に正確に伝え,その原因をつきとめるために必要と判断された場合は,しかるべき検査を受けてください。しかし,神経質になりすぎて念のためにということで数カ月ごとに検査を受けることは,利益もなく,医療費も無駄になってしまいますのでお勧めできません。再発予防の治療はしっかり受けたと自信をもち,バランスのとれた生活を心がけることが肝心です。一方で,反対側の乳房にできる新たながんは,早くみつければ,より完全に治せる可能性が高いため,乳がん術後には年1回のマンモグラフィを受けることが大切です。

ガイドライン

PAGETOP