Q58.医療スタッフと上手にコミュニケーションをとるには,どのようにすればよいでしょうか。

【A】円滑なコミュニケーションは,担当医をはじめとした医療スタッフとの「信頼関係」の上に成り立ちます。信頼関係はお互いの立場を考え,尊重することから始まります。

限られた診察時間を有効に使うには,準備が必要です
医師の前で緊張しないために,できることがあります
わからないことを,そのままにしないようにしましょう
医師の説明を理解できる力を身につけましょう
医師に自分の事情や意思を伝えましょう
信頼関係は,互いに尊重し合うことから

解説

限られた診察時間を有効に使うには,準備が必要です

医療スタッフは日々大勢の患者さんと接しています。限られた時間を有効に使うためには,患者さんも診察を受ける前に聞きたいことを簡潔にまとめ,あらかじめいくつかに絞って箇条書きにしておきましょう。そのために,日頃から自分の病状・聞きたいこと・困っていることなどを書きとめておくと,質問内容もより具体的にまとめられます。

通常の診察時間内で終わりそうにない説明などを求める際には,余裕をもって話ができる時間を別に取ってもらうようにお願いしてみましょう。

メモやデータなどの書類を保管できるファイルやノートをつくっておくと便利です。

医師の前で緊張しないために,できることがあります

医師の前に出ると,緊張や気後れで頭の中が真っ白になってしまうこともあるでしょう。診察室に入ったときは挨拶から始めましょう。挨拶を交わすことで緊張が解け,場の雰囲気を和やかにします。

基本的なことですが,医師の話はよく聞きましょう。医師が普通に使う専門用語は,一般には馴染(なじ)みのないものです。わからない言葉が出てきたときには遠慮せず,すぐにその場で質問しましょう。説明の間も,大切と思われるポイントは必ずメモを取るようにしましょう。録音したいときには,事前に申し出て許可を取るのがマナーです。

一人で説明を受けるのが不安な方は,ご家族や友人など信頼がおける人と一緒に医師の話を聞くとよいでしょう。話の内容を理解するうえでも,気持ちの整理をするうえでも,心強いものです。

わからないことを,そのままにしないようにしましょう

診察後,不明な点や疑問点が出てきた場合には,要点をまとめて次回の診察の際に質問しましょう。納得しないまま治療を受けていると,その後,医療不信につながることもあります。

質問したいことを上手に伝えられない場合には,質問事項を書いたメモを医師に渡すのも一つの方法です。また,看護師に質問の整理を手伝ってもらうこともできます。病院には医師だけではなく看護師・薬剤師・放射線技師など,患者さんをサポートする大勢のスタッフがいますので,相談や質問をしてみるのもよいでしょう。

医師の説明を理解できる力を身につけましょう

医師の説明を理解するためには,患者さんやその家族も基本的な病気の知識を身につけておくことが必要です。自分の病状や治療について,「正しい知識」を身につけましょう。現在,乳がん治療に関する情報は,本や雑誌,インターネット,新聞やTVで氾濫ていますが,正確なものや間違ったものなどが玉石混淆(ぎょくせきこんこう)の状態です。まずは,ガイドラインに基づく標準治療をきちんと押さえておくことが大切です。自分の治療の段階に応じて,この「患者さんのための乳がん診療ガイドライン」を熟読することをお勧めします。また,医療スタッフと話をするときに本書を持って行き,活用するのもよいでしょう。

なお,病気や治療の内容を知ることが怖いと感じる方もいらっしゃるかもしれませんが,必要な情報や知識を正しく理解することで,過度に病気を恐れることなく治療に臨むことができるようになるでしょう。

医師に自分の事情や意思を伝えましょう

例えば,痛みや気になる症状,副作用などは,我慢せずに医師に具体的に伝えましょう。特に,痛みや倦怠感(けんたいかん),しびれなどの自覚症状は,患者さんにしかわからないことですので,ご自分の状態をきちんと医師に伝えてください。

医師は患者さんの病状に応じた最善の治療方針を提案してくれます。しかし,患者さんの状況や考えが伝わっていないと,「患者さんにとっての最善」にならないこともあるでしょう。納得いく治療を選択するために,自分の状況や意思を伝えることが必要です。この大切な選択には,病気にかかわることだけでなく,生活状況や価値観,その他の事情が絡んでくることもあります。自分にとって何が最優先事項で,「どうしたいのか」をはっきりと伝え,医師とともに治療方針を考えていきたいものです(☞Q10参照)。

判断に迷うときには,セカンドオピニオン(☞Q11参照)を聞くことも可能です。しかし,まずは担当医と丁寧に話し合うことから始めていきましょう。

信頼関係は,互いに尊重し合うことから

納得いく最善の治療を進めたいと思っていても,簡単にいくことばかりではないでしょう。医師も患者さんも,自分の考えを一方的に主張し,相手の言葉を聞かない態度では円滑なコミュニケーションはとれません。

医師も患者さんも,どんなときも「医師の専門性」と「患者の意思」を互いに尊重し合いながら,「ともに最善の治療を目指そう」という気持ちをもって向き合うことが大切です。その気持ちから信頼関係は生まれてくるのではないでしょうか。

ガイドライン

PAGETOP