Q61.緩和ケアについて教えてください。

【A】緩和ケアは,がんに伴うさまざまな苦痛症状を和らげて,患者さんやそのご家族がその人らしく過ごせるように支えることを目的とし,安定した状態でがんに取り組めるようにするための方法です。
緩和ケアは,進行期や終末期の患者さんだけでなく,がんと診断された時点から療養の経過を通じて受けることができるケアです。

緩和ケアとは ▶緩和ケアはどこで受けられますか ▶緩和ケアに関する情報の入手先

解説

かつて,「緩和ケア」は「終末期に提供されるケア」ととらえられていた時期があったため,治療ができなくなった人のための最後の医療・ケアと誤解されがちでした。しかし,乳がんと診断されたときから緩和ケアは始まるといっても過言ではありません。乳がん自体の治療と同じように重要で,しかもそれは患者さんだけでなく,場合によっては家族にも必要なことです。

緩和ケアとは

乳がんになったことで患者さんとそのご家族は,さまざまな苦痛や問題を抱えます。それは単に痛みといった身体的な症状だけでなく,不安や落ち込んだ気分,女性としての精神的なつらさ,日々の生活で生じる社会経済的な問題,そしてスピリチュアルな問題(スピリチュアルは日本語で霊的・魂と訳しますが,その人自身の人生の意味や生きる意味などに相当します)などです。

緩和ケアとは,こうした身体的な苦痛や気持ちのつらさなどを少しでも和らげるための対処を行い,患者さんあるいはそのご家族も含めて援助することです。そして,QOL(生活の質)を保つことで,自分らしく過ごしていただくことを目的としています。

緩和ケアは病気の状態や時期に関係なく,診断された早期から療養の経過を通じていつでも受けることができ,それにより安定した状態で治療を受けられるようにするものです。また,治癒を目指した手術や抗がん剤などの治療が難しくなった時期でも,その人らしい生活が保てるように医学的な側面ばかりでなく,さまざまな援助をします。

一般的に,痛みが強いと体力が消耗しQOLが落ちたり治療自体もつらくなりますが,痛みは適切な治療法によって80~90%は改善できるといわれています。痛みの治療〔医療用麻薬(オピオイド)を含む〕によって命を縮めることはないことが証明されており,痛みを十分に和らげることは,患者さんの生活を支えるうえでとても重要なことの一つといえます(☞Q62参照)。また,精神的な問題に対してはカウンセリングなどを行い,気持ちを楽にすることもできます。場合によっては,適切な薬剤を使用することもあります。からだの痛みや精神的苦痛があると夜眠れなかったり,治療に対する意欲を奪われ自分らしさを見失う場合もあります。がん治療と同時に早期からの緩和ケアを行うことで,不安や抑うつが緩和し,自分らしい生活を送ることができる可能性を示唆した報告もあるため,早期からの緩和ケアは重要といえます。

緩和ケアはどこで受けられますか

前述したように,緩和ケアは「進行期や終末期に提供されるケア」から,「がんの治療早期から並行して始めるケア」というように考えが変わりました。そのため,緩和ケアを行っているのは,緩和ケアを専門としている緩和ケア病棟・ホスピスだけではありません。一般病院でも緩和ケアチームという多職種の医療スタッフ(身体症状,精神症状の緩和を専門とする医師,看護師,薬剤師,ソーシャルワーカーら)がかかわることによって,がんと診断された早期から症状緩和を行うようになってきました。緩和ケア外来を設置して,通院しながら緩和ケアを受けることができる医療機関もあります。もちろん,緩和ケアチームのない病院で緩和ケアを行っているところもあります。

在宅緩和ケアとは

在宅緩和ケアとは,がんそのものに対する治療を行うのが難しくなった時期のがん患者さんなどを対象に,入院ではなくご自宅で大切な時間を過ごしていただくために行う緩和ケアのことです。最近では訪問診療などの形で積極的に緩和ケアを取り入れている診療所や訪問看護ステーションなども増えています。

緩和ケアに関する情報の入手先

緩和ケアチームは各都道府県のがん診療連携拠点病院などに設置され,緩和ケアチームや緩和ケア病棟をもつ病院の情報は,国立がん研究センターがん対策情報センターのホームページに掲載されています。また,各都道府県のがん診療連携拠点病院には,各地域医療の情報や病院の活動に関する情報を扱っている相談支援センター,あるいは地域医療連携室が設置されていますので,直接問い合わせることもできます。お近くのがん診療連携拠点病院をインターネットで検索できない方は,居住地域の役所の保健対策課や保健所へお尋ねください。

〈医療機関や学会などが運営しているホームページ〉
・国立がん研究センターがん対策情報センターがん情報サービス http://ganjoho.jp/public/index.html
・日本緩和医療学会 http://www.jspm.ne.jp/
・日本対がん協会 http://www.jcancer.jp/
・がん情報サイト http://cancerinfo.tri-kobe.org/
・(財)日本ホスピス・緩和ケア研究振興財団 http://www.hospat.org/
・緩和ケア.net http://www.kanwacare.net/
・がんの痛みネット http://www.itaminai.net/
・日本ホスピス緩和ケア協会 http://www.hpcj.org/
・日本在宅ホスピス協会 http://n-hha.com/

ガイドライン

PAGETOP