Q62.がんの痛みは我慢しないで痛み止めを使ったほうがよいでしょうか。薬の種類と飲み方を教えてください。

【A】薬を使ってがんの痛みを止めることは大切です。痛みをつらく感じない状態にすることにより,前向きな治療を行うことができます。積極的に痛みを取り除く治療を受けましょう。薬の種類には,飲み薬,貼り薬,坐薬(ざやく),注射などいろいろあります。症状に合った薬を選ぶことができます。

がんの痛みとは ▶治療に使う薬と治療法

解説

がんの痛みとは

がんの痛みとは,①がん自体が原因となった痛み,②がんに関連した痛み(骨への転移など),③がん治療に関連して起こる痛み(放射線療法の副作用,抗がん剤の副作用による口内炎の痛みなど),④がんに併発した病気の痛み(変形性関節症など)が原因となって起こることが考えられます。これらの痛みの原因や強さなどについて正しい診断を受け,治療を受けることが大切です。痛みは患者さん本人にしかわからないものなので,我慢せず医療スタッフに伝えなければなりません。いつから,どこが,どのように,どんなときに痛むのか,痛みの性質はどのようなものなのか(ずきずき痛いのか,重苦しい痛みか,びりびり痛いのか…など)を,医師・看護師・薬剤師に伝えてください。

治療に使う薬と治療法

がんの痛みの治療には,ロキソプロフェン(商品名 ロキソニン)やジクロフェナク(商品名 ボルタレン)などの消炎鎮痛薬(しょうえんちんつうやく)(NSAIDs)や,アセトアミノフェン(商品名 カロナールなど),オピオイドと呼ばれる医療用麻薬を使います。

麻薬と聞くと,中毒になるのでは?,幻覚や幻聴が出るのでは?,さらに痛みが増したときに使う薬がなくなってしまうのでは?,命が縮むのでは?など,いろいろな不安があるかもしれませんが,これらはすべて間違いです。“医療用の”麻薬ではこのようなことは起こらず,効果的に痛みを取り除くための薬です。抗がん剤や手術,放射線療法などががんを治療するのに必要な「治療」であるのと同様に,医療用の麻薬はがんの痛みを治療するのに必要な薬です。

治療の目標は,①痛みがなく夜間よく眠ることができる,②じっとしていると痛くない,③歩いたりからだを動かしたりしても痛くないことです。それらの目標に近づけるように,定期的に時間を決めて使用する薬と痛みを感じ始めたときに使用する薬(頓用薬(とんようやく)またはレスキュー)を効果的に使用する必要があります。

薬の種類もさまざまで,1日1~2回服用するだけで長時間(12時間や24時間)効果が持続する飲み薬や,1日または3日間有効な貼り薬,効果がすぐに現われる粉薬や水薬,坐薬,注射など,そのときの症状に合わせて薬を変えることもできます。

実際のオピオイドの導入法としては,痛みを感じるときだけ使い,1日の間にどのくらいの薬の量が必要かをみる方法と,はじめから12時間または24時間効くタイプの薬を使う場合があります。いずれにしても,痛みが取り除けるまでは,1日のレスキューの使用回数を考慮して,定期的に使う薬の量を調節しますので,使用した時間や回数は記録してください。ただし,副作用などで量を増やすことができない場合は,薬の種類を変えてその方に合った薬を選択することができます。また,定期的に使用する薬の量に合わせて,1回に使用するレスキューの量も調節します。

注意点として,定期的に使用するオピオイドは,痛くないから飲むのを止めるなど自分の判断で飲み方を変更しないでください。レスキューは痛みを感じ始めたときに積極的に使ってください。

痛みの性質によって,オピオイドの量の調節のみでは痛みが取りきれない場合があります。そのときはオピオイド以外の薬(鎮痛補助薬)や放射線などを使って,痛みを取り除く方法があります。痛みが取れることで,食事がとれたり,眠ることができ,心配事が減り,通常の生活を快適に送ることが可能になるでしょう。

また,副作用として,便秘・吐き気・眠気などがあります。便秘はオピオイドを使用しているほとんどの患者さんで起きますが,下剤を使用することで対処できます。吐き気は,めまいのように感じる場合やお腹(なか)が張った症状に伴って感じる場合があります。これらの症状は,薬の使用を開始したときや量を増やしたときに出やすいです。予防のために吐き気止めを使いますが,1~2週間で症状がなくなることが多いです。眠気も,薬の使用を開始したときや量を増やしたときに出やすいですが,2~3日間で症状がなくなることが多いです。ただし,薬を使用したあとに眠気が強く出る場合は,医師に伝えてください。

患者さんに一番合った薬を選ぶためにも痛みを我慢せず,医療スタッフに伝えてください。積極的に痛みを取り除く治療を受けましょう。

Q62-図1

図1 WHO方式がん疼痛治療法

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