Q63.医療費などの経済的な支援制度はありますか。

医療費や生活費の負担を軽減したり,支援するための制度はいくつかあります。代表的なものとして,高額療養費制度,医療費控除,傷病手当金,雇用保険,障害年金,生活保護などがあります。

63-1 医療費が高くて支払いに困っています。何か良い方法はありませんか。
63-2 一年間に支払った治療費や薬代の合計が高額となりました。税金の控除は受けられますか。
63-3 治療のために仕事を休むことになり経済的に心配です。何か良い方法はありませんか
63-4 治療中はしばらく仕事を辞めて,体調が戻ってからまた働きたいです。何か手続きをしておいたほうがいいことはありますか。
63-5 がんの症状により,日常生活に介助が必要です。仕事に就くこともできません。収入がなくなり,生活に困っているのですが,何か良い方法はありませんか。
63-6 貯金もなく,医療費や生活費の支援をしてくれる人もいません。今後どうやって治療や生活を続けていくか途方にくれています。

63-1 医療費が高くて支払いに困っています。何か良い方法はありませんか。

【A】「高額療養費制度」が利用できます。

解説

高額療養費制度とは

公的医療保険における制度の一つで,医療機関や保険薬局の窓口で支払った額が暦月(1日~末日)で一定額(自己負担限度額)を超えた場合,その超えた金額が支給される制度です(表1)。事前に,加入されている医療保険の窓口 (表2)で「限度額適用認定証」の交付を受け,医療機関や保険薬局の窓口に提示すると,窓口での支払額が自己負担限度額までになります。一度に多額の医療費を支払い,後で払い戻しの申請をする必要がありません。医療費が高額になりそうな場合は,「限度額適用認定証」をご利用ください。

なお,「限度額適用認定証」の提示が間に合わなかったなどの事情で,高額な医療費を支払った場合は,申請により自己負担限度額を超えた額の払い戻しを受けることができます(払い戻し申請は2年までさかのぼることができます)。

このほか,70歳未満の場合,高額療養費は医療機関ごと,医科・歯科別,入院・外来別の計算となり,それぞれ同月に21,000円以上支払った場合に合算することができます。1つの世帯で同じ医療保険に加入している方が複数いる場合も,それぞれ同月に21,000円以上の支払いがあれば合算することができます(世帯合算)。また,調剤薬局(保険薬局)で支払った医療費は,処方箋を発行した医療機関の医療費に含めることができます。

表1  高額療養費制度の自己負担限度額

【70歳未満の方の場合】

所得区分 自己負担限度額/月 1食あたりの
負担額
1~3回目 4回目以降※1)
ア~エの所得区分の方は
『限度額適用認定証』
を申請してください
年収約1,160万円~
健保:標報※3) 83万円以上
国保:旧ただし書き所得※4) 901万円超
252,600円+(総医療費−842,000円)×1% 140,100円 360円
年収約700万円~約1,160万円
健保:標報53万円~79万円
国保:旧ただし書き所得 600万円超~901万円以下
167,400円+(総医療費−558,000円)×1% 93,000円
年収約370万円~約770万円
健保:標報28万円~50万円
国保:‌旧ただし書き所得 210万円超~600万円以下
80,100円+(総医療費−267,000円)×1% 44,400円
~年収約370万円
健保:標報26万円以下
国保:‌旧ただし書き所得 210万円以下
57,600円  44,400円
オの所得区分の方は
『限度額適用・
標準負担額減額認定証』
を申請してください
住民税非課税※5) 35,400円 24,600円 210円
(90日までの入院)
160円※2)
(90日を超える入院)

※1)直近の12カ月間に,すでに3回以上高額療養費の支給を受けている場合(多数回該当の場合)には,その月の負担の上限額がさらに引き下がります。
※2)直近12カ月の入院期間中に,入院日数が90日を超えた場合は再度手続きが必要になります。
※3)標準報酬月額
※4)保険料を計算する際の基礎控除後の所得総額
※5)ア・イの所得区分に該当する場合,住民税非課税であっても,標準報酬月額でのア・イの該当となります。

【70歳以上の方の場合】

所得区分 外来の自己負担限度額/月
(個人ごとに計算)
入院の自己負担限度額/月※1) 1食あたりの
負担額
現役並み所得者
医療費が3割負担の方
 44,400円  80,100円
(総医療費−267,000円)×1%
4回目以降44,400円※2)
360円
一般 12,000円 44,400円
低所得者Ⅱ
(住民税非課税世帯)
  8,000円 24,600円  210円
(90日までの入院)※3)
160円
(90日を超える入院)※3)
低所得者Ⅰ
(年金収入80万以下)
15,000円 100円

※1)同一月に入院と外来があった場合は,入院の自己負担限度額に準じます。
※2)直近の12カ月間に,すでに3回以上,高額療養費の支給を受けている場合(多数回該当の場合)には,その月の負担の上限額がさらに引き下がります。
※3)直近12カ月の入院期間中に,入院日数が90日を超えた場合は再度手続きが必要になります。

表2 申請窓口

医療保険の種類 問い合わせ先 
健康保険 全国健康保険協会管掌健康保険
(協会けんぽ)
全国健康保険協会各都道府県支部
組合管掌健康保険 健康保険組合
国民健康保険 市町役場:国民健康保険の担当課 
国民健康保険組合 国民健康保険組合 
共済組合 共済組合 
   ※申請に必要なもの:保険証,印鑑,病院で支払った領収書,振込口座のわかるもの

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63-2 一年間に支払った治療費や薬代の合計が高額となりました。税金の控除は受けられますか。

【A】一年間に支払った医療費に対して手続きをすることで所得税が戻ってくる「医療費控除」という制度が利用できます。

解説

医療費控除とは

ご本人またはご家族(生計を一つにする親族)が,前年(1月1日~12月31日)に支払った医療費が10万円(または,所得金額が200万円未満の方は,その金額の5%)を超えた場合に申告をすれば税金の一部が戻ってくる制度です(表3)。医療費控除は,会社の年末調整ではできないため,ご自身で確定申告をする必要があります。その際には医療費の領収書などを添付します。医療費控除の申請窓口は管轄の税務署となります。

表3 医療費控除の対象となる医療費の一例

控除できるもの 控除できないもの
*医師,歯科医師による診療費,治療費
*医師等の診療を受けるために直接必要な費用(バスや電車を利用した場合の通院費,必要な場合の部屋代,食事代,医療用器具の購入費や貸与の費用)
*薬代(薬局で購入した市販薬等も含む)
*治療のためのあんま・マッサージ・指圧師・はり師・きゅう師・柔道整復師による施術費用
*人間ドック,健康診断の費用(検査の結果病気が発見された場合は対象となる)
*自家用車通院の場合のガソリン代
*本人,家族の都合による個室料
*ウィッグや,専用の下着の購入費
*病気の予防や健康増進のための医薬品の購入費
*入院に際し購入した身の回りの品

医療費控除の計算方法
1年間に支払った医療費の合計額 ・民間保険で支給される給付金
・健康保険から払い戻される高額療養費など
 −  10万円または所得金額が200万円未満の方はその金額の5% 医療費控除額
(200万円まで)

《ポイント》
・がん治療によって給付された民間保険金等は,そのがん治療でかかった医療費から差し引きますが,それ以外の医療費からは差し引く必要はありません。
・会社員などの確定申告を行っていない方は,過去5年間分についてさかのぼって申告が可能です。

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63-3 治療のために仕事を休むことになり経済的に心配です。何か良い方法はありませんか。

【A】病気やけがのために会社を休み,事業主から十分な報酬が受けられない場合,その間の所得保障として「傷病手当金」が支給されます。

解説

傷病手当金とは

傷病手当金は,休業中の生活を保障するために,健康保険制度,共済組合制度に設けられている制度です。健康保険制度の被保険者,共済組合制度の組合員等が支給の対象です。原則,扶養家族は支給の対象になりません。傷病手当金の申請窓口は(表4)の通りです。

傷病手当金が受けられるとき

病気やけがのため働くことができず,仕事を休んだ日が連続して3日間あって(この3日間を待機期間といいます),4日目以降の休んだ日に対して支給されます。
支給期間は,支給を開始した日から数えて最長1年6カ月です(途中で仕事に復帰した期間があっても支給開始日から1年6カ月までの支給となります)。

退職日に傷病手当金を受給しているか,受給できる条件を満たしている場合には,退職後も引き続き受給できる場合があります。ただし,退職日に出勤したときは,退職後も続けて給付する条件を満たさなくなってしまうため,注意が必要です。

支給される金額

病気やけがで休んだ日,1日につき,標準報酬日額(およそ1日分の給与)の3分の2相当額です。ただし,休業中でも報酬がある場合などは,支給額が調整されることがあります。

表4 申請窓口

医療保険の種類 対象者 問い合わせ先
健康保険 民間企業の会社員等 協会けんぽ(全国健康保険協会)
加入している各健康保険組合
共済 公務員・教職員等 加入している各共済組合

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63-4 治療中はしばらく仕事を辞めて,体調が戻ってからまた働きたいです。何か手続きをしておいたほうがいいことはありますか。

【A】何らかの理由で仕事を辞め失業した場合,雇用保険から「基本手当」が支給されます。

解説

基本手当とは

雇用保険制度にはさまざまな給付がありますが,その中でも中心となるものに,求職者給付の一つである「基本手当」があります。これは一般的に「失業保険」や「失業手当」と呼ばれているもので,再就職までの間,生活を安定させ,安心して就職活動を行えるよう支援するものです。すぐに働けない場合は,受給を先送りすることもできます。基本手当の申請窓口は,住所地を管轄するハローワーク(公共職業安定所)となります。
※年齢,被保険者期間,離職の理由によって給付日数が異なります。
※1日あたりの基本手当の給付額は,お勤めをしていたときの給料や,離職時の年齢によって異なります。

基本手当を受けられる期間は

基本手当は受給できる期間(受給期間)が決まっています。受給期間を過ぎてしまうと給付日数が残っていても受給できません。受給期間は原則として離職した日の翌日から1年間です。

すぐに再就職できないときは

ハローワークに来所し,求職の申し込みを行い,就職しようとする意思があり,いつでも就職できる状態であることが給付の条件となっています。
しかし,病気療養中などですぐには就職ができそうもないとき,手続きをしないまま受給期間の1年を過ぎてしまうと,基本手当を受給することができなくなってしまいます。このようなときは,受給の開始を先延ばしにすることができます(受給期間の延長)。延長できる期間は最長で3年間です。

63-5 がんの症状により,日常生活に介助が必要です。仕事に就くこともできません。収入がなくなり,生活に困っているのですが,何か良い方法はありませんか。

【A】病気などによって障害を有し,日常生活や就労の面で困難が多くなった場合に「障害年金」を受給できる場合があります。

解説

障害年金とは

一般的に年金を受給できるのは65歳からですが,がんと診断され心身に障害があれば「障害年金」を受け取ることができる場合があります。
初診日から1年半経過した後,日常生活で介助が必要であったり,仕事に著しい制限を受ける状態になった方が対象です。
初診時に加入している年金制度と障害等級(障害の程度)により,給付される金額が異なります(表5)。なお,受給要件として,初診日に公的年金に加入していること,一定の保険料の納付があることなどの要件を満たしている必要があります。

障害年金の申請窓口は(表6)の通りです。

表5 障害年金の金額       ※2016年4月現在

障害の程度 支給される年金の額(年間)
障害厚生年金 障害基礎年金
1級 報酬比例の年金額×1.25+配偶者加給年金額(224,500円) 975,125円+子の加算(224,500円)
2級 報酬比例の年金額+配偶者加給年金額(224,500円) 780,100円+子の加算(224,500円)
3級 報酬比例の年金額(最低保障額585,100円)

表6 申請窓口

障害基礎年金 市区町村役場の国民年金の窓口
障害厚生年金・障害共済年金 年金事務所・職場の担当者

63-6 貯金もなく,医療費や生活費の支援をしてくれる人もいません。今後どうやって治療や生活を続けていくか途方にくれています。

【A】あらゆる手を尽くしても生活が困窮している場合は「生活保護」を利用できる場合があります。

解説

生活保護とは

あらゆる手を尽くしても生活に困窮している状態の場合,健康で文化的な最低限度の生活を保障するために必要な給付を行う生活保護制度があります。その人が自立して生活ができるように援助することを目的としています。生活保護の申請窓口は,市区町村役場の福祉窓口や福祉事務所となります。

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