あとがき

あとがき

この2016年版「患者さんのための乳がん診療ガイドライン」は2014年版の改訂版です。2014年版はかなり完成度の高いものでしたので,全体の構成は2014年版とほぼ同じです。2016年版「患者さんのための乳がん診療ガイドライン」を作成するにあたり,その基本方針も2014年版と同様の次の2つと致しました。

1.最新かつ正確な情報を盛り込み,わかりやすい表現にすること

2.患者さんが知りたい情報に早く確実に到達できること

これらの基本方針に従い,乳がん患者向けガイドライン作成小委員会のメンバーで約1年をかけて2016年版の作成に取り組んできました。その内容は医療者向けの乳がん診療ガイドラインの内容に従っています。医学用語に詳しく,さらに詳しい情報をお知りになりたい方は2015年版の医療者向け「乳癌診療ガイドライン・治療編/・疫学・診断編」を参照されることをお勧めします。

2016年版で追加した主な部分は次の通りです。2014年版から取り入れました患者さんからの生の質問に対する回答を提示した「質問集」は今回も採用し,さらにその内容を充実させてより細かなご質問に対応できるように致しました。それに加えて2016年版では,乳がん患者さんのほとんどが女性であることを重視し,美容的な部分の記述を充実させました。例えば,術後の下着やパッド,ならびに化学療法中の頭髪,眉毛,まつ毛,爪のケア,ウィッグなどの記述を充実させました。また,特殊な乳がんの記述も追加致しました。それ以外にもこの2年間での新たな情報を網羅致しました。

振り返ってみますと,当初考えていたものにかなり近いものができたと思いますが,まだ完璧とはいえません。お気づきになった点を,ご投書いただけますとさらなる改善につなげられると思います。

残念ながら,医療関係の情報には間違ったものが氾濫しています。さらに,医師は多忙な人が多く,患者さんやご家族に対しての医師からの説明が十分でないこともあると思われます。ご自身が得られた情報が,正しいものかどうかを確認する目的で本ガイドラインを使用していただくこともできますし,医師などの医療スタッフから得た情報の不足分を本ガイドラインで補うことも可能であると思います。

最初から通読していただくこともできますし,知りたい情報のみを辞書的に調べることもできます。通読していただく場合,同じような表現が繰り返し出てきて“くどい”印象を受けるかもしれませんが,辞書的に使用される方のためにあえて繰り返し述べている点をご理解いただきたいと思います。

できるだけ多くの乳がん患者さんに本ガイドラインをお読みいただき,そして活用していただくことで,より納得のいく乳がん診療を受けられる方が一人でも増えることを希望してやみません。なお,本ガイドラインの執筆にあたり,医師向け乳癌診療ガイドライン作成委員の先生方〔池田,井口,黒木,関口,遠山,本間(敬称略)〕の貢献度が非常に大きかったことをこの場を借りて述べさせていただきます。

最後に,本ガイドライン作成に多大なご助力をいただきました金原出版の佐々木瞳氏に心より感謝申し上げます。

 

2016年5月

乳がん患者向けガイドライン作成小委員会委員長
大住 省三

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