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その他お知らせ・学会からのお知らせ

BRACAnalysis診断システムの検査実施の要件と遺伝カウンセリング体制について NEW

日本乳癌学会 理事長 井本 滋
日本遺伝性乳癌卵巣癌総合診療制度機構 理事長 中村 清吾

PARP阻害剤オラパリブの乳癌への適応追加に伴い、BRCA遺伝子変異のコンパニオン診断であるBRACAnalysis診断システムの検査実施は以下の要件を満たすものとする。

1) BRCA遺伝子変異の診断は、乳腺専門医、がん薬物療法専門医、あるいは十分な乳癌薬物療法の経験を有する医師が所属する施設で行う。なお、同医師は日本HBOCコンソーシアム、あるいは日本遺伝性乳癌卵巣癌総合診療制度機構等が主催する教育セミナーの受講が望ましい(http://johboc.jpを参照)。
2) BRCA陽性患者ならびにその家族の遺伝カウンセリングは、必要に応じて臨床遺伝専門医、認定遺伝カウンセラー等が所属する施設で行う。
3) 1) と 2) を同時に満たすことが望ましいが、遺伝カウンセリング体制の国内状況から、1) の施設は 2) の施設と連携のもとでの検査実施を可とする。

要件の理由

1) BRCA遺伝子を含む生殖細胞系列遺伝子変異の病態の理解と説明、PARP阻害剤オラパリブに関する知識と治療など、乳癌を含む遺伝性腫瘍全般に関する高い専門性が求められるため。
2) 遺伝性腫瘍に関する学会認定資格、同学会参加による学習、遺伝性腫瘍に関するカウンセリングの経験、NCCNガイドラインの理解など、BRCA陽性の場合の適切なカウンセリングの体制とその実施が求められるため。

付記:
乳癌未発症者に対するBRCA遺伝子変異の保険による検査実施も重要な課題であるが、現時点では乳癌患者を対象にオラパリブ適応の可否を判定する目的でBRACAnalysis診断システムを実施するものである。

平成30年6月18日

会員の皆様へ
ブレスト・インプラント関連未分化大細胞型リンパ腫についての連絡(初報)
(BIA-ALCL:Breast Implant-Associated Anaplastic Large Cell Lymphoma) NEW

1.ブレスト・インプラント関連未分化大細胞型リンパ腫とは

(以下BIA-ALCLと略します)
BIA-ALCLは、乳房再建術または乳房増大(豊胸)術でブレスト・インプラント(ゲル充填人工乳房)を挿入された方に生じる、T細胞型非ホジキンリンパ腫の中でも稀な型の一つです。2016年のWHOの分類において、ブレスト・インプラント関連のALCLとして、他のALCLと異なるカテゴリーに分類されました(BIA-ALCL)。1 BIA-ALCLは他のALCLと異なり緩徐に進行します。BIA-ALCLは非常にまれな疾患であり、BIA-ALCL診断例で最も多いのは、遅発性・持続性の漿液腫のためにインプラント交換手術が施行されたときにリンパ腫細胞が発見された症例です。
多くは局所治療完全被膜切除とインプラントの抜去のみで軽快し、化学療法や放射線療法は要さないとされていますが、治療の開始が遅れて死亡した症例も報告されています。2,3

2.BIA-ALCLの発生頻度

現在発表されているBIA-ALCLの疫学的調査によりますと、罹患率はインプラント挿入症例10 万例当り、年間0.1 ~ 0.3 件と推定されています4。本調査では、症例数が限られているため、発症率が過小評価されている可能性があります。一方、米国形成外科学会(ASPS)の報告では、米国における生涯罹患リスクは、1/30,000と推察されています5。また、オーストラリアおよびニュージーランドからは、1/1,000-1/10,000と報告されております。しかし、これまでにアジア人(米国内に在住するアジア系住民を含む)での報告はなく、この違いは、地理的または遺伝的傾向を示している可能性があるとされています5
日本乳房オンコプラスティックサージャリ—学会(JOPBS)は日本形成外科学会や日本乳癌学会と協力して、ASPS主導の全世界登録システム(PROFILE:21か国加盟)で真の発現率を調査して評価を進めていきます。現在(2017年5月まで)126例の症例が登録されています。会員の先生方には症例報告にご協力くださいますようお願い致します。
ALCLは、他の人工物(整形外科用インプラント、歯科インプラント、注入ポート等)埋入症例でも報告されています。

(参考情報)
他の疾患のリスクを示します。
乳癌の生涯罹患リスクは9%(11人に1人)6。局所再発率は乳房温存療法で5~20%、乳房切除術で2.3~18%と言われています7


※国立がん研究センターがん情報サービス 累積罹患リスク(2012年データに基づく)6

3.BIA-ALCLの原因と予防策

乳房再建術、増大術、シリコーンインプラント、生理食塩水インプラント、ポリウレタンインプラントから症例報告があります。これまでのところテクスチャードタイプの使用例での発症が報告されている一方で、スムースタイプのインプラントのみを埋入した症例での報告はありません。しかしながら、これまでの情報ではスムースタイプでの発症を完全には否定できません。

現時点で、明確な原因は確認されていませんが、免疫反応、遺伝的要因、“Biofilm” 等の関与が疑われています。
一般的な事項ではありますが、引き続き周術期における感染対策(術前抗生剤投与、皮膚消毒-術中清潔操作、インプラント埋入前のポケット洗浄、インプラントの汚染・菌付着防止)を徹底してください。

4.BIA-ALCLへの推奨される対応

インプラント挿入術後の患者に対しては、引き続きこれまでと同様のケアとサポートを提供してください。
もっとも多くみられる臨床所見は、インプラント留置から遅れて発症するインプラント周囲の漿液腫(術後1年以上)です。他の遅発性症状としては、疼痛、腫瘤、腫脹、非対称性、潰瘍等があります。
FDAは現時点では無症状の患者や他の異常のない患者における追加のスクリーニング検査およびインプラントの予防的摘出を推奨しておりません。本邦では、ガイドライン8,9により2年に1回の画像検査が推奨されており、これを継続してください。

【現時点で推奨される事項】

  • インプラントの手術を受ける方には、BIA-ALCLの可能性を説明してください。
  • 患者・ご家族様用説明文書の参考例を、学会で用意しています。
  • インプラントが挿入されている方には、乳房を定期的に自己検査し、変化が見られた場合は受診するよう指示して下さい。
  • 遅発性(術後1年以上)、持続性のインプラント周囲漿液腫を発症した症例では、BIA-ALCLの可能性を考慮してください。(インプラント埋入から発症までの期間は、平均8年、2~28年との報告があります。1
  • 症例の中には、被膜拘縮や乳房インプラント近傍の腫瘤を主訴に受診した例があります。
  • BIA-ALCLが疑われる患者は、専門医とともに以下の検査をおこない、診断を進めてください。

【検査項目】インプラント周囲貯留液のエコー下穿刺 細胞診 免疫染色(T細胞マーカー、CD30、ALK) フローサイトメトリー
(詳しくはNCCNガイドラインをご参照ください)

  • BIA-ALCLを疑った段階で、対応が難しい場合は、学会へ報告いただければ、状況に応じて助言を行います。
  • BIA-ALCLが確定した症例は全て、速やかに日本乳房オンコプラスティックサージャリ—学会(JOPBS)に重大有害事象として報告してください。場合により学会から追加情報を照会することがあります。学会は、報告者と患者の氏名の秘密を保持します。

また、学会より、PROFILEへの全世界登録を行います。この登録により症例データをさらに包括的に把握でき、BIA-ALCLの原因究明に役立つと考えられます。

  • 集学的医療チームを組織し、その患者に合わせた治療計画を立ててください。
  • 病変が被膜に限局する場合は、被膜の完全切除およびインプラント抜去のみで、化学療法・放射線療法なしに、経過観察を行います。まれではありますが、乳房実質あるいはリンパ節転移を伴う症例では、ALK陽性全身性ALCLと同様の急速な経過をたどることがあります。

関連情報

[BIA-ALCL疑い症例に対する検査・治療アルゴリズム] 11.12

  

References:
  1. Swerdlow SH, Campo E, Pileri SA, et al. The 2016 revision of the World Health Organization classification of lymphoid neoplasms. Blood. 2016 May19; 127(20):2375-2390
  2. Kim B, Predmore ZS, Mattke S, et al. Breast implant-associated anaplastic large cell lymphoma: Updated results from a structured expert consultation process. Plast Reconstr Surg Glob Open. 2015 Feb 6; 3(1):e296.
  3. Clemens MW, Medeiros LJ, Butler CE, et al. Complete surgical excision is essential for the management of patients with breast implant-associated anaplastic large-cell lymphoma. J Clin Oncol. 2016 Jan 10; 34(2): 160-8.
  4. de Jong D, Vasmel WL, de Boer JP, et al. Anaplastic large-cell lymphoma in women with breast implants. JAMA2008 Nov 5; 300(17): 2030-2035.
  5. American Society of Plastic Surgeons. Breast Implant Associated Anaplastic Large Cell Lymphoma (BIA-ALCL) By the numbers, and what they mean.
    https://www.plasticsurgery.org/for-medical-professionals/quality-and-registries/bia-alcl-by-the-numbers (2017.05.26)
  6. 国立がん研究センターがん情報サービス 累積罹患リスク(2012年データに基づく)http://ganjoho.jp/reg_stat/statistics/stat/summary.html(05.26)
  7. 日本乳癌学会. 乳癌診療ガイドライン1治療編 2015:213
  8. 日本形成外科学会ブレストインプラントガイドライン管理委員会. 外傷・先天異常に対する乳房再建、ならびに乳房増大を目的としたゲル充填人工乳房および皮膚拡張器に関する使用要件基準. 2014.
  9. 日本乳房オンコプラスティックサージャリー学会ガイドライン作成委員会. 乳癌および乳腺腫瘍術後の乳房再建を目的としたゲル充填人工乳房および皮膚拡張器に関する使用要件基準. 2013.
  10. American Society of Plastic Surgeons. BIA-ALCL Summary and Quick Facts. ASPS-ASAPS Update.
    https://www.plasticsurgery.org/for-medical-professionals/quality-and-registries/bia-alcl-summary-and-quick-facts (2017.05.26)
  11. Clemens MW, Nava MB, Rocco N, et al. Understanding rare adverse sequelae of breast implants: anaplastic large-cell lymphoma, late seromas, and double capsules. Gland Surg. 2017 Apr; 6(2): 169–184.
  12. NCCN clinical practice guidelines in oncology T-cell lymphomas version 2.2017-february 21,2017
  13. Miranda RN, Lin L, Talwalkar, et al. Anaplastic large cell lymphoma involving the breast: a clinicopathologic study of 6 cases and review of the literature. Arch Pathol Lab Med. 2009 Sep; 133(9):1383–90.
  14. Clemens MW, Miranda RN. Commentary on: Lymphomas associated with breast implants: A review of the literature. Aesthet Surg J. 2015 Jul; 35(5): 545-547.

 


日本乳癌学会会員の皆様へ
乳癌の生涯罹患リスクは9%(11人に1人)6。局所再発率は乳房温存療法で5~20%、乳房切除術で2.3~18%と言われています7

最新の医薬品安全性情報にアクセスするためにPMDAメディナビにご登録ください!  NEW

 独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA)では、医薬品・医療機器等の安全性に関する重要な情報が発出された際に、迅速に電子メールでお知らせする無料サービス「PMDAメディナビ」を提供しています。
 厚生労働省も、「厚生労働省緊急安全性情報」をはじめとした医薬品・医療機器等の安全性上の重要な情報を、PMDAメディナビで配信することとし、登録を推奨しています。
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〔問い合わせ先〕
PMDA安全第一部 リスクコミュニケーション推進課
E-mail: push-master@pmda.go.jp

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乳がん検診の精密検査実施機関基準 NEW

乳がん検診の精密検査実施機関基準を日本乳癌学会・日本乳癌検診学会の共同により作成しました。

上記PDFpdf

キャリアとして考える – 乳腺専門医 パンフレット NEW

男女共同参画委員会作成「キャリアとして考えるー乳腺専門医」パンフレットを掲載します。
学生や研修医への乳腺専門医紹介用パンフレットとしてご活用ください。

 日本乳癌学会へのご寄付のお願い

乳癌は、1994年より女性の癌罹患率のトップとなり、年間の罹患者数は60,000人を超え、死亡者数も10,000人に上り、国全体で取り組むべき重要な悪性腫瘍になっています。

欧米では、20年以上前から、この問題の解決に向けて、ピンクリボン活動を含めて、様々な社会貢献活動が行われ、最先端の研究に対する助成や、若手研究者の育成の支援が行われてきました。  
日本乳癌学会は、乳癌を中心とする乳腺疾患の診断、治療に従事する医師(外科、内科、放射線科、産婦人科、病理診断科等)、看護師、薬剤師などから構成される学会です。

現在会員数は、約9,800名(そのうち、医師は8,000名)に上ります。その活動の一環として、乳腺疾患の診療に従事する専門医(約1,500名)の育成や、専門施設の認定、重要な課題に対する調査研究を行っています。
そこで、当学会での研究活動、乳癌検診への啓発活動、若手医師の海外派遣や専門施設での研修の支援など、国民の皆様のさらなる付託にお答えするための資金として寄付をお願いする次第です。
もし趣旨にご賛同いただける場合には、下記のリンクから申込書をダウンロードしていただき、ご記載の上、当学会事務局までご送信下さい。

日本乳癌学会 理事長

申込用紙 PDF pdf    または   Word word     ←2018年11月21日更新 

 遺伝性乳癌に関する日本乳癌学会としてのステートメント

 米国の人気女優アンジェリーナ・ジョリーさんが乳がん予防のために受けて話題となった遺伝性乳癌に関する事項、とくに乳房切除手術について多くの関心が寄せられています。今回、日本乳癌学会としてのステートメントを発表させていただきます。

「現在、遺伝性乳がん卵巣がんに関する検査及び、一連の医療行為(予防的な乳房切除術)は保険診療下で行うことはできません。しかし、保険診療ではない、自由診療というかたちでならば、同疾患に対する遺伝カウンセリングの体制が整った施設でのみ、遺伝学的検査を行うことは可能です。今後は、さらなる診療体制の充実を図るため、ただいま関連学会等と協議中です。指針が定まりましたら、改めてお知らせいたします。」

 


 

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