旧序文、旧報告

指針作成にあたって

倫理委員会委員長 大内憲明

 乳癌の臨床研究に関する利益相反(conflict of interest:COI)情報を適切に開示することは、本学会の社会に対する責務です。臨床研究では、成果を社会へ還元するという公的利益がある一方で、研究者に私的利益が発生することもあります。この公的利益と私的利益が研究者個人の中に生じる状態を、利益が矛盾しない場合であっても、利益相反(conflict of interest:COI)とよびます。利益相反状態が深刻な場合には,研究の方法,データの解析,結果の解釈が歪められる恐れがあり、他方、適切な研究成果であるにもかかわらず、それが私的利益に添う場合には、公正な評価がなされないことも起こり得ます。そこで、利益相反情報を適切に開示すれば、このような事態を避けることができます。
 本学会では、2008年9月の役員改選に伴い、新たな委員会がいくつか発足しました。倫理委員会はそのひとつで、私が委員長としてその職責を担ったわけですが、当初、利益相反に関する指針をどの委員会が担当すべきか判らず、2008年12月18日の理事会に諮ったところ、倫理委員会で対応すべきという園尾理事長の指示を受けた次第です。私の所属する東北大学では、全国に先駆けて利益相反マネジメントによる利益相反定期自己申告を行っていた経緯もあります。
 本指針・細則の作成に携わった倫理委員会の構成員は他に、佐伯俊昭先生(副委員長)、明石定子先生、井内康輝先生、岩瀬弘敬先生、 野村憲弘先生(弁護士)、 本田真由美氏(讀売新聞記者)の計7名で、機関誌Breast CancerにおけるCOI開示の観点から編集委員会の野口眞三郎先生、伊藤良則先生にも適宜、ご出席をいただきました。2009年1月16日の第1回から5月15日の第4回まで集中的に会議を重ねて原案を作成し、7月2日の定時総会(評議員会)にて承認を得ることができました。その後も、指針・細則の英訳作業や開示に関する具体的方法の詰めの協議のために、新たに発足した利益相反委員会(佐伯俊昭委員長)との共同作業を現在も進めている状況です。
 委員のかたがたには、ご多忙にも拘らず、多くの時間を割いて協議、立案して頂き、厚く御礼申し上げます。
 指針にもありますように、今後、利益相反状態開示に関する実務は利益相反委員会が担うこととなっており、早速、次回の第18回学術総会(2010年6月24-25日、札幌市)に向けて、演題登録時、発表時のそれぞれにおける開示の方法を具体的に示したところです。
 本学会で定めた指針・細則及び Q and A の特色は、会員の皆様に、「利益相反とは何か」、「どのような手続きが必要か」などについて、判りやすく示した(示すよう努力した?)ことと、他の学会が「利益相反に関する指針」であるのに対して、本学会では「利益相反状態開示に関する指針」としたことです。後者は、すなわち、会員自らが利益相反状態を正しく、積極的に開示することを求めています。
 癌の臨床研究の中で、とくに乳癌領域においては、近年の乳癌患者数の激増に伴い、薬剤開発や臨床試験等が盛んに実施されている背景で、利益相反に該当する臨床研究に携わる会員が数多く存在します。本学会会員の皆様が社会に襟を正して、研究成果を正々堂々と公表して頂くことが乳癌患者さんの利益にもなり、私ども本指針の作成にあたったものとしての願いでもあります。

2009年10月


 

倫理委員会委員長 戸井雅和

今回の『乳癌臨床研究の利益相反状態開示に関する指針』の修正、追加は日本医学会のガイドラインに沿って行われたものです。

主要な改正点は、回避すべき事項の新設です。臨床試験、治験に関連する利便、報奨金、報酬等に関する回避事項が記載されています。また、細則においては、学会等に関連して行われるセミナーでの発表者における資金提供者の明示が追記されました。細則は1年ごとに見直すことも追加されました。

これらの修正、追加は、臨床研究の公明性、中立性、透明性の保持を明確にし、臨床研究、臨床試験が適正に行われること、を目的としています。

利益相反(conflict of interest:COI)情報を適切に開示することは、本学会の社会に対する責務と考えられます。最も正しいと考えられるデータを構築し、発表することは社会の公的利益に合うものですが、何にしろ、利益相反状態は研究の立案や成果の解釈、公表における中立性に影響を与えるおそれがあり、利益相反状態の開示はこれらの臨床研究の中立性への影響を最小限にとどめるために必要不可欠と思われます。

本改正は利益相反委員会の河野範男委員長を中心にして、佐伯俊昭副委員長、石田孝宣委員、高尾信太郎委員、増田慎三委員、山田公人委員、野村憲弘委員により行われ、理事会、評議員会の討議を経て確定されたものです。
臨床研究に関わるもの全員が遵守すべきものと考えます。

2011年9月

 


利益相反委員会報告

利益相反委員会委員長 河野範男

本年2 月に公開されました、日本医学会“医学研究のCOI マネージメントに関するガイドライン“は(案)の段階で、乳癌学会に意見を求められ纏められたガイドラインです。従いまして当委員会では日本医学会ガイドラインに沿って若干追記、修正を加え倫理委員長、理事会の承認を得ましたのでご報告申し上げます。
主な改正点は、
◇指針では
・新たに〈条項III〉を設け、日本医学会で具体的に示されております回避事項を新設しました。
・また細則は1 年ごと見直すことを追記いたしました。
◇細則では
・ランチョンセミナー等、本法人に関連して行なわれる企業や営利団体主催の講演会、モーニングセミナーは、日本医学会では特段の指針遵守が求められるとされますので〈第3 条〉と新設いたしました。
その他 医学研究のCOI マネージメントに関するガイドラインには 理念として医学研究の透明性、公正性が高く謳われており乳癌学会利益相反状態開示にも反映させました。

PAGETOP
Copyright © 日本乳癌学会 All Rights Reserved.
Powered by WordPress & BizVektor Theme by Vektor,Inc. technology.